キバナノアツモリソウ (ラン科アツモリソウ属) 【黄花敦盛草】
(Cypripedium yatabeanum)
以前、機会があってシンガーのみなみらんぼうさんと、その山仲間の皆さんの山行にお供させてもらったことがある。
南アルプス前衛の櫛形山で、アヤメ平という花の名所があり、その他にも山野草のたいへん豊富で有名なところ。
当時、アルプスの高山植物はある程度知っていたが、いわゆる山野草の知識はほとんど無く、らんぼうさんの植物の博識にひたすら感心していた。
その時に見た希少な花が、この「キバナノアツモリソウ」。
日本の野生ランの中でも、この近辺の山にも咲く「ホテイアツモリ」など、アツモリソウの仲間は特定国内希少野生動植物に指定され、盗掘や不法譲渡販売に対しては懲役刑もあるほどとなっている。
花を知っている皆さんは、もちろんこれをお目当てにやってきたのだが、無知とは恐ろしいもので、その時は「へんてこな花だなあ」ぐらいの認識しかなかった。
それでも興味はあるので、当時出始めのデジカメで写真だけ撮っておいたのだが、今となっては貴重な記録となってしまった。
現在、櫛形山に自生するキバナノアツモリソウは、鹿の食害によってアヤメ平が壊滅的になってしまったのと連動して、おそらく絶滅したのではないかと言われている。
アツモリソウ属特有の、大きな袋状の唇弁をもち、独特のまだら模様が迷彩パターンのようで面白い。
環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)