トレッキングの楽しみ

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トレッキングの楽しみ

トレッキングという言葉もいまや、一般的になってきたが、もともとTREKとは、 南アフリカの移民たちが牛車で苦しい旅をするという意味が語源ということらしい。
いま言われるトレッキングとは、登山やハイキングよりもマイペースで自然をのんびり楽しみながら歩くのがコンセプトだ。
トレッキングは、ウォーキングスポーツとも言えるのだが、単にスポーツという以上の奥深さがある。
自然を肌で感じながら、思索する小さな旅であり、あるときはささやかなアドベンチャーでもある。
また、文化や歴史を訪ねる旅でもあり、人や動植物との出会いの旅でもある。
日本には、まだまだ味わい深い山麓や高原、海岸線、歴史を秘めた街道など歩いて楽しめるルートはいくらでもある。
多くの人が目指す人気の高い有名な山頂や、著名な天然記念物などだけが日本の自然ではない。
むしろ、自分だけのとっておきのルートを自分なりに発見する喜びこそトレッキングの醍醐味と言えるのではないだろうか。

老若男女を問わず、その人なりの志向に合わせてマイペースで楽しめるのが身上だから、「こうでなければならない」 という考えにあまりとらわれず、自由に気軽にやってみよう。
ただ、最低限のノウハウとマナーは必要である。
自然と人に迷惑をかけず、危険を未然に回避できるだけのノウハウとマナーが。

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歩きかた

「歩く」という行為は、誰しもずっと意識せずにやってきたことだから特殊な技術などはないのだが、 起伏のある未舗装の地面を長時間行くのだから、ある程度のこつは必要だ。
基本はペースを守ること。
特に歩きはじめはついついオーバーペースになりがちである。
意識的にゆっくりと歩きはじめよう。
体が馴染んでくれば自ずと自分のペースが掴めてくるはずだ。

 休憩はこまめにとるのが良い。
特に歩きはじめの30分くらいでは、いったん体調や服や靴の具合を確認する意味でも小休止してみた方が良い。
ただ、山岳地形のルートやロングコースではあまり大きな休みをたびたび取りすぎると、かえって疲れることになる。
1時間に5から10分ていどの規則的な小休止をはさむとよいだろう。

 オフロードを歩くということは、道路と違って爪先で蹴らず、かかとから一歩一歩踏みしめるようにして歩く。
斜面では靴底を斜面にフラットに置くのが基本だ。
ただ、急な斜面では木の根や段の少しでも水平に近い面を選んで足を置く。
特に滑りやすい地面では決して爪先で蹴るようにしないこと。
足首を柔軟にして、足の裏全体を使って地面をそっと押さえるように歩こう。
 登りはつらく、下りは楽だと思われがちだが、下り坂はもっとも気を使わなければならない。
足の置き場は登りと同じくフラットに、なるべく水平に。
一歩一歩の間隔を小刻みに、着地の衝撃を膝のクッションで吸収するのがこつだ。
大股で駆け下ると、膝を痛めやすいので注意。
また、靴の中で足が前に詰まると爪先を痛めるので、長い下りルートでは靴紐をしっかり締めておこう。

 人それぞれ体力もペースも違うのだから、コースタイムはあくまで目安として、自分のペースをつかんで守るようにしたい。
息が切れない程度に、大汗をかかない程度に、が目安だ。
タイムレースではないのだから、急ぐ必要はない。
いい空気をいっぱい吸いながらゆっくり歩こう。


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服装

 トレッキングの服装は、寒冷季や高所でなければ、あまりおおげさに考えなくてもよいのだが、 アンダーウェアや素肌に着るTシャツなどにはできるだけ即乾性の化学繊維を使用したものが快適だ。
汗ばんでも冷たく感じにくく、乾きが早いからである。
とくに寒冷な時期のトレッキングには木綿のウェアは避けるべきだ。
湿ったり濡れたりした場合に大変不快であるどころか、冬季の高所などでは生命を左右することさえある。
なるべく、ウールや即乾・保温性の化繊が基本となる。
 アウトドアでのウェアリングは「レイヤード」が基本。各層の機能を認識したうえでの「重ね着」を生かす。
発汗性、保温性のアンダーに、適度な保温と通気をもつ中間層、防風・防水のアウターというのが基本。
行動中と休憩中、運動量によって体温、発汗の状態はどんどん変化するのだから、それに合わせてウェアリングもこまめに調整。
とにかく汗をかかず、冷えずという調整で無駄な体力の消耗を防ぐようにしよう。


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予定と計画

 トレッキングは、本格登山ではないのだから、あまりきっちりしたタイムテーブルに沿ったハードな行動予定では、 楽しみの広がりが少なくなってしまう。
しかし、自然の中に踏み込んで行く以上、最低限の行動予定とルート情報チェックは必要だ。
だからここは思い切った余裕時間を最初から盛り込んでしまってはどうだろう。
例えば、コースタイム3時間のルートでも、そこが楽しそうなルートなら5時間見込んでおくといったことである。
途中にどんな興味深い景色や動植物、自然現象に出会うか、行ってみなければわからない。
いろんな出会いに心ゆくまで付き合ってみるのが、トレッキングの真骨頂なのだから、 とにかくゆとりだけはいっぱい用意したい。

 トレッキングとはいえ、相手は大自然。季節やルート、天候や時間帯によって条件も千変万化だ。
例えば同じルートを同じ時間で行動しても、春と秋では日照時間が全く違う。
春に余裕で歩けたルートが、秋では途中で行き暮れてしまうかもしれないのだ。
可能性のある危険や予想されるトラブルを事前に頭に入れておくことが必要だ。
「何があってもだいじょうぶ」の心構えがあれば、それだけ余裕の行動ができるわけだから、 自由で気ままな旅のためには事前の研究が大事というところであろう。


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新たな世界が広がる

 身近な散歩道の延長からでも始められるトレッキングだが、経験を積んでゆくうちにはさらに遠く、 長く、高くという志向の人も出てくることだろう。
本格的な登山、テントなどを持ってのロングトレイルのバックパッキング、 クロカンスキーやスノーシューを使ったスノートレッキング、また、ヒマラヤやアルプス、 アンデスなどの高峰を望む海外のハイ・トレッキングなど、大きな世界がどこまでも広がってゆく。
どのような形をとろうと、あらゆるアウトドア活動において、トレッキング、ハイキングの経験は いろいろな意味で基本ベースとなるものなのだ。

自分流のトレッキングを探しながら、さあ、一歩を踏み出そう。

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