ナイロンシューズの効用と限界


 ライトトレッキングシューズの中でもナイロンアッパーのタイプは、カラフルで軽く履き易いということで、今では大変人気がある。
最新のアスリート理論からフィードバックされたノウハウで作られたものも多く、 ソフトで足入れも良いので、始めからフィット感が抜群だ。
トレッキング入門には、まさにお薦めの製品が多く、機種を選べば本格登山にも対応できる。

 このように従来の革靴の鈍重なイメージを一新するメリットも多いのだが、逆に頑丈な革靴の耐久性を求めるのは無理という面もある。
革靴は俗に履けば履くほど足に馴染んでくるというところがあるが、 ナイロンシューズでは馴染んだころには型崩れや消耗もかなり進んでいるはずだ。
ナイロンアッパーの生地には、当然防水加工が施されているが、これも使っているうちには、低下してくる。
ゴアテックスを用いたシューズなら表面の防水がなくなってもその内側で浸水を食い止めるのだが、 何万回も揉まれるものだけに、いつまでも性能が持続するわけではない。
靴本来の性能を発揮するためには、表面の撥水を復活してやる必要がある。
だが、ナイロンファブリックスの表面はワックスなどを塗るわけにはいかないので、 再防水の手段はもっぱら防水スプレーなどによるしかない。
ほとんどの製品で靴底が減った場合の張り替えもできない場合が多い。
また、物理的に張り替えできたとしても、その時点までにはアッパーの耐久性がかなり落ちているのが実状だろう。

 つまり、ナイロンシューズのメンテナンスが簡単であるというのは、逆にいうと簡単な手入れしかしようがないということでもある。
ここいらが、革の製品と大きく違うところで、ナイロンシューズはやはり運動靴のように、 ある意味で使い捨ての靴と考えざるを得ないだろう。

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