景清洞

(かげきよどう)
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山口県美祢郡美東町 (全長1745m 観光部分800m+400m)WEB
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秋吉台から北東方向に少し降りたところにある、古くから知られた鍾乳洞です。
その名前の由来は、壇ノ浦の戦いに敗れた平家の武将・平景清が潜んでいたという伝説によるものです。

この鍾乳洞は基本的に水平で直線的なもので、洞内に川が流れており、正確にいえば上流の三角田川が三角田洞に流れ込み、地底を流れてここから流れ出ているのです。
要は完全な地下河川となっているもので、水位や土砂の状態によっては向こうに通り抜けも可能な構造となっています。
現在のところは、連絡部分が常に水没したサイフォン状になっているため行き止まりです。

オートキャンプ場の一角にある受付では、「一般コース」と「探検コース」を選ぶことができます。
「探検コース」を申し込むと、ゴム長靴、ヘルメット、ヘッドランプを貸し出してくれます。
とはいえ、ルートは途中まではまったく同じ。

丘のふもとにひっそりと開口した入り口は、巨大な岩盤の下から川が流れ出しています。
入り口に神社があり、広く水平な歩道を少し行くと大きなホールが。
おそらく落盤によってできたと思われるかなり巨大な空間と瓦礫の山が続いています。
瓦礫の山に登るルートや支洞に向かうルートもありますが、後回しにして奥へ。
基本的に直線的に水平に続く洞窟は次第に天井が低くなり、しかし幅は広いまま続いていきます。
鍾乳石やフローストーンは殆んど見られない、わりあい単純な巨大下水道のようなルートですが、洞内に反響する水流の音を耳にしながら「かくし船」「飛行機雲」などのネーミングされた見ものもあちこちに。
低い天井にはボックスワークが見られます。
観光部分は完全整備された水平歩道が800mほど続きますが、次第に狭くなり照明が無くなる地点(洞内地平線)で「一般コースおわり」の立て札があり、歩道も終わりますが洞窟はまだ続いています。
ここからが照明も歩道も無い「探検コース」となっています。

しばらくは照明の明かりが薄暗く届いていますが、そのうちまったくの闇に。
天井は次第に低く、ところどころ頭をぶつける高さに部分も。
足元は岩ではなく砂利の道。そう、これは天井を蓋された地下の川の河原歩きなのです。
次第に狭くなると岩を縫って水流の中に入っていかなくてはなりません。
水はすぐに長靴の中に流れ込みますが、思ったよりも冷たくなく、福島の入水洞のようなものではありません。
このへんまで来ると蛇行を繰り返す流れは緩やかで、水深は深いところで膝下ぐらいでした。
部分的には低い天井をかがんで通るようなところもあり、いよいよ終点。
「探検コースおわり」の反射板看板があり、その先十数mほどで洞窟は水没して終わっていました。

この鍾乳洞は二次性生物の華やかさはありませんが、低い天井を注意して観察していくと、フズリナの化石を発見できたり、ボックスワークからストローができつつある様子を目の前にみられたり、それなりに興味深いみどころはいろいろあります。
また、一般コース終点先あたりの天井を見ていくと天井に墨で書かれたような落書きがあちこちあり、「まったく、しょうも無い!」と思いつつよく見ると、「嘉永何年」とか「明和何年」といった江戸時代のものが鮮明に残っていたりするので、これも見ものです。

帰り際に中間地点にある支洞「籠穴」を覗いてみました。
洞内川をざぶざぶと渡渉して、対岸にぽっかり開いた水の流れ出す支洞に。
真っ暗な曲がった水穴の向こうからは、まるで大雨が降っているような水音。
膝上まである水の中をそろそろと進み、曲がり角から覗くと大きな空間に天井のあちこちから水の降り注ぐ地底湖がありました。
(実際には「湖」というより「池」ですが…)
水が深いと怖いので、入り口から引き返しました。

帰りに大ホールの瓦礫の丘に登ると、ここも秋芳洞と同様に天井近くの高い位置では、むっとするようなコウモリ臭い暖気が溜まっていて、コウモリたちには天国なのでしょう。

福島・入水洞に続いて、観光洞の探検コースとして、物好きな方にはオススメです。

2006 by 猫仙人


巨大な岩盤の下に開口し、冷気が流出する景清洞の入り口
巨大な岩盤の下に開口し、冷気が流出する景清洞の入り口

入り口からの空間は広く、すぐに神社がある。  「生目八幡」眼病にご利益あり。

入り口からの空間は広く、すぐに神社がある。
「生目八幡」眼病にご利益あり。

洞内河川に沿って、低い水平天井の回廊が続く
洞内河川に沿って、低い水平天井の回廊が続く

一段と天井が低くなり、「一般観光コースおわり」の反射看板。 向こう側には「探検コースはじまり」と「洞内地平線」の看板。
一段と天井が低くなり、「一般観光コースおわり」の反射看板。
ここで舗装歩道は終わり。 向こう側には「探検コースはじまり」と「洞内地平線」の看板が。

低い天井で幅が平たく広いのがこの鍾乳洞の特徴。
低い天井で幅が平たく広いのがこの鍾乳洞の特徴。

「探検コース」はこんな感じ。  天井はおおむね低く、足元は砂利か水流。
「探検コース」はこんな感じ。
天井はおおむね低く、足元は砂利か水流。

時には岩が行く手を阻むので、膝までの水中を進む。
時には岩が行く手を阻むので、膝までの水中を進む。

「探検コース」終わりの反射看板。 この先数十メートルで洞窟は行き止まり。
「探検コース」終わりの反射看板。
この先数十メートルで洞窟は行き止まり。

ここが終点。 この水没地点から山の向こうに抜けられるときもあるらしい。
ここが終点。
この水没地点から山の向こうに抜けられるときもあるらしい。

  支洞の「籠穴」を探索。  広がる池に水音が響き、ちょっと不気味。
支洞の「籠穴」を探索。
広がる池に水音が響き、ちょっと不気味。

「籠穴」の内部だが、水しぶきが霧状に飛び散っているので写真がとれない。洞内いっぱい、地底の池になっている。
「籠穴」の内部だが、水しぶきが霧状に飛び散っているので写真がとれない。
洞内いっぱい、地底の池になっている。

途中で発見した水の湧き出し口。  上流で側洞に吸込まれていった川の流れがここからまた湧き出し川が再開する。
途中で発見した水の湧き出し口。
上流で側洞に吸込まれていった川の流れがここからまた湧き出し川が再開する。

探検コースとっつきの天井にある古い落書き。 墨文字で「嘉永」とか「明和」「弘化」などの年号が。
探検コースとっつきの天井にある古い落書き。
墨文字で「嘉永」とか「明和」「弘化」などの年号が。

天井が低いので、水滴がいかにして鍾乳石になって行くのかを目の当たりに見られる。
天井が低いので、水滴がいかにして鍾乳石になって行くのかを目の当たりに見られる。
数百年もたてば立派なストローになるかも。

帰り道で観光コースの明かりが見えるとほっとする。
帰り道で観光コースの明かりが見えるとほっとする。

洞内案内図

洞内案内図


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